読書記録『押絵と旅する男』

こんばんは、ねこめです。第六回目は江戸川乱歩の『押絵と旅する男』です。

個人的にとても好きなお話です。汽車の中で奇妙な男と奇妙な絵に出会うのですが、まるで自分の眼前の出来事のようにも思えるし、夢の中での出来事だったのかもしれないとも思えます。

男は――むしろ老人と云った方がふさわしいのだが――そう云いながら、長い指で、器用に大風呂敷をほどいて、その額みたいなものを、今度は表を向けて、窓の所へ立てかけたのである。
 私は一目チラッと、その表面を見ると、思わず目をとじた。何故なぜであったか、その理由は今でも分らないのだが、何となくそうしなければならぬ感じがして、数秒の間目をふさいでいた。再び目をいた時、私の前に、嘗て見たことのない様な、奇妙なものがあった。と云って、私はその「奇妙」な点をハッキリと説明する言葉を持たぬのだが。

https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/files/56645_58203.html

「奇妙」というのは、得てして言葉で表現しづらい事象であり、だからこそ奇妙と感じるのですが、ハッキリとした説明がなくとも、不気味さ・異様さといったものが、わたしの背筋を撫でるかのようにゾッとさせ、同時に何とも云えぬ好奇心を与えるのです。

摩訶不思議な体験をしてみたい方は是非一度読んでみてください。オススメの物語です。

青空文庫より『押絵と旅する男』江戸川乱歩
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