読書記録『歯車』

こんばんは、ねこめです。第七回目は芥川龍之介の『歯車』です。

遺稿の一つで、晩年に書かれた本作。最初から最後まで病的な描写が続き、読み終わった直後には「嗚呼わたしはもう死ぬのか」という気持ちになります。

実際わたしも精神的に非常に不安定だった時期に、何かと不吉な物事を見つけたり関連づけようとしたり、誰かに付け狙われているような感覚に襲われる事がありました。もちろん逆に安心できるものもちゃんとあって、本作でもココアを飲むシーンや、平和だと感じる色について触れている部分があり、逐一「それな!」と心の中で共感していました。

それらのリアルな描写から、日常的に幻覚や妄想からの恐怖や苦痛があったと窺えます。精神的にも肉体的にも限界を迎えつつ、薬や逃避行動で騙し騙し生き存えていたのかもしれません。後に芥川が服毒自殺してしまうのも納得できます。

――僕はもうこの先を書きつづける力を持っていない。こう云う気もちの中に生きているのは何とも言われない苦痛である。誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/42377_34745.html

本当に、いよいよという時、眠っているうちにそっと……というのは同感です。今際の際の少し前の感覚を味わってみたい方は是非。

青空文庫より『歯車』芥川龍之介
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